痛くない親知らず抜歯

「親知らず、早く抜いておくべき!」とは限りません!

親知らずの抜歯

親知らずは早めに抜いておいた方が良いという定説がありますが、これは一概に正しいとは言えません。場合により、そのままにしておいた方が、将来的なメリットが見いだせる場合があります。確かに、放置していて腫れや痛みが出ることはありますが、全ての親知らずを抜いてしまった方が良いという考え方は誤りです。「残せる状態であれば、できる限り残しておきましょう」というのが当院の立場です。

親知らずは「再生利用」できる場合があります

親知らずの再利用

親知らずは、以下のようなケースで再利用(リサイクル)できる可能性があります。このため、当院は残しておいた方がベターだと考えています。

  • 他の歯を抜いてしまう必要が生じたとき、親知らずを抜歯した箇所に移植させられる可能性
  • 親知らずの一つ手前の歯を抜く場合、親知らずを矯正治療で移動させ、外科手術することなく咬み合わせを復元できる可能性
  • 親知らずの一つ手前の歯をつく場合、親知らずを軸にブリッジ治療し、3本の歯をキレイに整えられる可能性

これらは必ずしも実現できる方法とは限りませんが、完全に親知らずを抜いてしまうと、このような形の治療法を取る術はなくなってしまいます。また、親知らずはご自身の天然の歯であるため、生体親和性に優れ、インプラントや義歯にも勝る第三の選択肢になってくるわけです。このようなことから、安易には抜かない方が良いと言えるでしょう。

親知らずの移植には条件もあります

どのような親知らずでも移植できるわけではありません。移植のためには、親知らずの根っこの形状や大きさの適正、移植先の部位がどこかによっても変わってきます。疑問をお持ちの状況であれば、一度ご来院いただき、お口の中の状態を診察させてください。

移植できる親知らずの条件

次の5つのようなケースでは、親知らずは抜歯しておきましょう

親知らずの抜歯

①親知らずが歯茎から少し顔を出しているものの、成長が見込めない時

親知らずがしっかりと顔を出さずに一部分だけ歯茎表面に現れているようなケースです。このような場合はブラッシングケアも難しく、放置すると虫歯や歯周病につながってしまいます。よって、早期の抜歯をおススメします。

②手前の歯が親知らずによって押され、歯並びに悪影響がある時

親知らずが横向きに生えている場合に多いものですが、この状態で親知らずが成長を続けようとし、その前の歯を強く押してしまうことがあります。歯並びに悪影響を与えてしまいますので、痛くなくても早めに抜歯しておく方が良いでしょう。

③親知らず周辺に膿の固まりが認められる時

レントゲン写真を見たときに、親知らず周辺に袋状の影があることがあります。これは、嚢胞(のうほう)と呼ばれる膿の固まりですが、口腔環境に悪影響を及ぼす可能性が高くなりますので、抜歯をおススメいたします。

④歯茎や頬の粘膜を傷つけるなど、咬み合せに悪影響がある時

咬み合っていない状態の親知らずは、成長を続ける過程で頬や歯茎の粘膜を傷つける可能性があります。状況により、顎関節症を引き起こしてしまうこともありますので、このような場合は、抜歯を選択することが適切です。

⑤親知らず自体が重度の虫歯に侵されている時

親知らずが虫歯に羅患している場合については、わざわざ根管治療をしてその位置に親知らずを維持する必要はありません。抜歯を選択し、適切に滅菌してしまう方が、余計なリスクを避けることにつながります。

親知らずを抜くときの痛みと抜いた後の痛み

親知らずを抜く時の痛み

「親知らずを抜くのは痛い」というイメージをお持ちの方が多いですが、実際は麻酔を使用して抜歯させていただきますので、通常は抜くこと自体に大きな痛みは伴いません。また、麻酔をする時についても、痛くないような麻酔注射への配慮をいたします。どちらかと言うと、抜歯後に麻酔が切れてきた後に痛みを感じる場合があります。これについても、痛みを軽減する治療法で回避することが可能です。

抜歯への所要時間と痛みの比例関係

抜歯後の痛み抜歯に時間がかかる時、親知らずが骨の奥深くに埋まっていたり、横向きに生えて抜きにくいことが想定されます。このような場合には、親知らずを抜いた後の穴が大きくなることが考えられます。

このため、麻酔後に痛みを生じやすくなり、「時間がかかるほど痛みを生じやすい」という理屈が成り立ちます。当院では、経験豊富な歯科医師がCTやレントゲンを用いてシミュレーションを行ないますので、身体的に影響度の少ない抜歯を実現いたします。

ドライソケットを防止することの重要性

ドライソケット親知らずの抜歯後は、その箇所に大きな穴が開きますが、通常血が溜まりカサブタのようになるため骨の露出が防がれます。ただし、うがいをしてしまったり、その箇所で強く噛みすぎてしまうと、その血のカサブタが剝がれてしまうケースがあります。

これをドライソケットと言いますが、骨がむき出しになるため強い痛みを生じます。よって、親知らず抜歯後の注意事項は、正しくお守りください。ご希望があれば、人工コラーゲンを充填し、ドライソケットの防止処置を取ることもできます。

「親知らずを抜くと小顔になれますか?」

親知らずの抜歯で小顔

女性の方から時々「親知らずを抜くと小顔になれますか?」と質問を受けます。このような時は「理論的には小顔になる効果が僅かにありますが、現実的には小顔になったと意識されることはないでしょう」と答えるようにしています。下顎の親知らずは、エラ周辺にあるため、抜くことで骨は吸収され、多少エラ部分が薄くなるという事実があります。それでも、パッと見てわかるほどの効果は期待できません。このため、小顔になりたいから親知らずを抜くという判断はしない方が良いでしょう。

調布市周辺で親知らずの治療、相談をお考えの方は当院へ

親知らずの診療、抜歯をご希望の方

ご説明させていただきました通り、親知らずは必ずしも抜けば良いというものではありません。もちろん、痛みを生じている場合は別ですが、無理に抜いてしまうことで移植の術を自ら投げ捨ててしまう可能性もあります。「抜く」「抜かない」は専門的な判断が必要になってきますので、疑問をお持ちの場合は、是非当院へお気軽にご相談ください。