抜髄で必要な前処置(隔壁作成)

投稿日:2023年7月29日

カテゴリ:根管治療

抜髄とは虫歯が大きく、歯の神経まで細菌が侵入し、細菌感染を起こして炎症が生じている場合に行う治療です。

歯の内部に感染が広がっているので、細菌を可能な限り除去し、綺麗な状態で封鎖することが目的です。

細菌が取り除ききれずに感染が広がると、歯の根の先まで炎症が波及し、根の先の周囲の骨が溶けたり、歯茎ら膿が出てきたり、強い痛みが生じることがあります。放置し続けると歯を抜くことになるので、なるべく早く治療に介入する必要があります。

奥歯に虫歯がある患者さんの写真です。

一見気づきにくいですが、銀歯の下が虫歯になっています。

歯にヒビが入っていたり、内部が黒く透けている部分があります。そして、強い痛みが数日前にあったそうです。歯の検査を行った結果、神経が殆ど反応がありませんでした。神経が細菌によって壊死しかけている可能性が高いと判断しました。レントゲンでもかなり大きな虫歯が認められたので、根管治療(抜髄)を行うことを説明し、治療を始めました。

銀歯を外すと、内部がドロドロに溶けていました。かなり虫歯が進行しているのがわかります。

虫歯染め出し液で染めて範囲をわかりやすくします。

染まった部分をしっかり除去していきます。

虫歯の範囲を決めるのは実はかなり難しく、一般の保険診療では虫歯の取り残しや、歯の削り過ぎなどがよく生じます。虫歯の取り残しは治療したはずの歯が再度痛くなったり、詰め物が取れたりするなどのトラブルの原因の一つです。

この段階で大事なのは、虫歯をしっかり除去して、治療中に細菌が歯の内部に入り込まないようにすることです。黄色い矢印の場所から唾液などの汚染物が侵入して治療をしているのに汚染してしまう可能性があります。虫歯を綺麗にした後は、横の穴を封鎖する壁(隔壁)を作ることが必須です。

隔壁をしっかり作ってから、ラバーダムシートをかけることで、唾液などの汚染から遮断した状態で治療することができます。

白い材料で先ほどの矢印の穴が封鎖されているのがわかります。

金属の留め金を使用してゴムのシート(ラバーダム)をかけています。歯茎、舌、頬、唾液などが見えなくなりました。ここまで行ってやっと歯の内部へアプローチできます。

この工程をしっかり行わないことが多いので、根管治療の成功率が低いのです。

歯の根の治療は、歯の寿命に直結します。

虫歯が大きいケースは痛みが取れても、それで終わりではありません。歯を長期に保存したいとお考えであれば、根管治療に特化した歯科医院で治療を受けるべきです。

根管治療や虫歯治療でお悩みの方で調布市の歯科医院をお探しの方は柳沢歯科医院にご連絡ください。