他院なら取るであろう歯髄を残した症例

投稿日:2017年6月30日

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歯髄を取る処置「抜髄」

歯の内部には歯髄を呼ばれるゼリー状の組織が入っていますが、大きな虫歯などが原因で、歯髄は感染を起こします。その場合には、歯髄を取り除き、歯の健康を守ります。この処置を抜髄と呼びます。この処置は虫歯が大きかったり、感染が原因で痛みがある場合は必要な処置なのですが、歯の寿命という観点からは、幾つかのデメリットがあります。

抜髄のデメリット

処置が難しい

多くの歯科医院で毎日のように行われている根管治療ですが、実は、日本での根管治療の成功率は、非常に低く、40~50%と言われています。それだけ難しい治療なのです。

歯の寿命が短くなる

抜髄をした歯は、歯の量がなくなるため、一般的に、歯髄の残っている歯と比較し、寿命が短いのです。

このような観点から、虫歯が大きくても、歯髄は可能な限る保存したほうが良いのです。

 

歯髄を保存した症例

今日提示する症例は、虫歯が大きく、通常であれば、歯髄を取り除いてもおかしくない歯の、その歯髄を保存した症例です。

レントゲン写真上での、真ん中の白いつめ物の装着されている歯です。つめ物の下に大きな虫歯があります。この虫歯を取り除くと、内部にある歯髄が露出してしまいました。通常であれば抜髄ですが、今回はMTAセメントの用いて、歯髄の保存にチャレンジしました。

1週間後、症状も全くないため、MTAセメントの硬化を確認し、コンポジットレジンで土台を作ります。

青いレジンの仮ふたを取り除いています。

仮ぶたを外したところです。内部にある灰色の材料がMTAセメントです。このセメントが固まっているのを確認しました。

この部分にコンポジットレジンを接着させるため、表面処理を行いました。

その後、レジンを流し込み、硬化させます。

これらの処置はマイクロスコープを用いて行いました。

実際の動画を提示致しますので、ご覧ください。

今後、1ヶ月の経過観察後、問題なければ、歯髄を保存できると判断し、クラウンを装着する予定です。

 

まとめ

このようなケースでは、多くの場合神経を取る処置「抜髄」を行うでしょう。しかし、可能であれば、歯髄は保存するべきです。なぜなら、歯髄を保存することは、その歯の延命治療につながるからです。

虫歯が大きい場合でも、歯髄は残すことができるかのしれません。調布市の歯医者さんで、このような治療をご希望の方は、一度来院されてみてはいかがでしょうか。

柳沢歯科医院