保険診療との付き合い方の提案1

投稿日:2019年10月12日

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ガンやその他の病気の予防は難しいです。そのため、誰でも受けることができる保険診療が有効と考えます。しかし、歯科における虫歯や歯周病の予防は、その他の病気と比べて予防しやすいのですが、保険診療で行えることがその価値を下げ、予防の重要性が浸透しづらい状況にしてしまう可能性があります。なぜなら、保険診療の費用があまりにも安いためです。簡単に治療が受けられてしまうため、ハードルが低くなってしまい、結果、予防に目が行きにくくなってしまいます。そのため、歯科における保険診療は、患者さんのためにも、見直す必要があると考えます。

しかし、前回説明した通り、保険診療は患者さん側、そして歯科医師側にとっても麻薬のようなものなので、今すぐにやめることはできないですし、また、やめるべきでもないと思います。

では、このような保険診療とどのように付き合うべきなのか、提案したいと思います。

 

保険診療は若手が経験を積むため、と割り切って使う

保険診療では、診療報酬が定額であり、平等です。しかし、これは、ベテランの歯科医師と経験のない研修医が行っても、報酬が同じなため、不公平になります。平等という名の不公平、が生まれてしまうのです。差があって初めて公平なので、経験を積んだ歯科医師はそこから脱却し、いち早く自由診療で治療を行うべきです。しかし、多くの歯科医師が自由診療を行えば、高額な治療費を出して治療することができない人が出てきます。そのような人たちに言いたいのは、「お金が払えないなら、自分で守りなさい」ということです。患者さんのために言います。予防ができるものをしていないなら、それは「怠慢」です。結果、お金が払えないなら予防しなければ・・・ということが、患者さんの予防に繋がるのです。お金がモチベーションでいいのです。私の叔母がカナダに住んでいますが、「根管治療は高いから」という理由で、歯を大切にしています。これでいいと、私は思います。

しかし、この状況でも虫歯になってしまったら、海外ではお金の払えない人は治療ができません。こうなって初めて、保険診療が生きてきます。歯科における保険診療の価値が出てきます。海外との差が出るのです。

つまり、若手が自分の経験を積むために保険診療を利用するのです。これでこそ、「保険診療を生かした平等」になるのです。

保険診療の現状に対して、歯科医療に従事する多くの人が疑問を持っています。これを伝えずに、黙って私たちは治療しています。このことをフェアに伝えることが、患者さんのためだし、治療を行う我々のためだと思っています。

歯科医師側が、保険診療にコントロールされるのではなく、どのように利用するのか・・・。これが、今後私たちに必要なことであり、その提案を今回させて頂きました。

柳沢歯科医院