歯が問題ではない痛みがあります

投稿日:2020年11月30日

カテゴリ:根管治療

3年間続く痛みに悩んでいる患者さん

患者さんは、50歳代の女性です。左上の痛みがあるとのことで来院されました。

話を聞くと、3年程前から、左上にずっと続く痛みがあるとのこと。ある歯科医院で、左上の奥から2番目の歯の根管治療を受けたが、痛みは良くならず、そのほかの医院でその歯を抜歯したそうです。しかし、痛みは治らず、今度は、その手前の歯、上顎の第二大臼歯の根管治療を受けたそうです。ところが、それでも痛みは治らなかった、とのことでした。3年間、この痛みに悩まされている、とのことで、当院に来院されました。

 

歯の感染が原因ではないと診断した

まずは、診査を行います。診査はとても大切です。根管治療の場合、マイクロスコープやCTを用いたアクロバティックな治療が注目されがちですが、実は、一番大切なのは、診断です。この大切な診断でのポイントは、この二つ

痛みの原因は、なんなのか? 

本当に歯にこびり付いた感染が原因なのか?

です。歯科医院では、主に痛みを取っている、と思われている方が大半だと思いますが、これは大きな間違えです。もちろん痛みを取れることもありますが、我々は「細菌感染」を取り除いているのです。この感染が原因である痛みは取れますが、他は難しいのです。

今回のケースでは、この痛みの原因は「細菌感染ではない」と診断しました。つまり、一般の歯科医院では取れない痛みの可能性がある、と診断しました。

では、どうするのか?

答えは、「痛み専門外来への紹介」です。

歯科医院は「汚れ取り専門外来」なのに対し、痛みを専門に扱う歯科医師が存在するのです。

患者さんに説明し、痛み専門外来に行って頂きました。

 

「三叉神経痛」が原因でした

最近、紹介先の病院から連絡が来て、診断の結果、「三叉神経痛」だったとのことでした。つまり、感染が原因ではなかったので、歯科医院では解決できないものでした。専用の薬を服用中なので、これで良くなると良いですね。

しかし、ここでもっと伝えたいことがあります。

他院で行われた治療、実は、すべて誤診によるものなのです。根管治療で痛みを取ろう、と行ったものだとは思いますが、実は、これが歯科治療では命取り。必要のない、後戻りのできない治療を、多くの歯科医院で行ってしまっていることが多いのです。

もしかすると、その長続きする痛みは、歯が原因ではないかもしれません。

柳沢歯科医院